虚勢の銀貨

東村の日々の記録

ちょっとしたお酒の話

 皆さんお酒はお好きですか? 私は元々アルコールに弱いので程々ですが、嫌いではないです。やっすい居酒屋の工業水みたいなものはダメですが、ちゃんとしているバーなんかでは多くて四、五杯くらいですかね、そのくらいは飲みます。ツイッターにも上げてますが、最近は晩酌しながら本読んだりもしていますよ。頭痛がするほど飲んだら何をするにもままならないですが、程々なら余計な力が抜けてすんなり頭に入ってくる感じがして、結構好きです。

 

 アルコール、好きな人は本当に好きですけど、ダメな人は本当にダメですよね。ご存知の方も多いかな、と思いますが、これって分解酵素の分泌率の差なんですよね。

 高校の生物や化学で知っている人もいるかもしれませんが、アルコールは体内に吸収されると、肝臓の分解酵素の働きでアセトアルデヒドという物質に分解されます。このアセトアルデヒドが厄介で、強い毒性を持っています。これの血中濃度が高くなると”酔う”ことになります。なので、飲酒の際には「悪酔いを防ぐために同量の水を飲む」方法が推奨されているんです。そもそもの血中水分量を増やして、アセトアルデヒドの割合を相対的に下げようってことですね。

 このあと、件のアセトアルデヒドは血流に乗って体のいろんな場所に運ばれます。その後、体の各部位で酢酸、要するにお酢へ分解されます。アルコールが全くダメな人はこのアセトアルデヒド分解酵素が分泌しにくい/しないから長くそれに苦しむことになるんですね。酢酸は水と二酸化炭素に分解されて排出されます。これがアルコール分解の一連の流れになります。

 

 ちなみに、なんですが、アルコールが好きな人、特におっさん世代の人って「ビールっ腹」て言われるみたいに、それなりにわがままボディな人が多いですよね。これ、「アルコールを飲む=太る」ではないんです。アルコールって純アルコール(度数100%)1gあたり7kcalくらいあります。どれくらいかパッとしないですか? 以下の計算式を見てください。

 純アルコール量=飲み物の総量×度数×0.8(アルコール比重)

 なので、一般的な缶ビールに当てはめると、

 純アルコール量=350(ml)×0.05×0.8→純アルコール=17g、となります。

 

 17(g)×7(kcal)=119(kcal)、つまり、缶ビール一杯に含まれるアルコールのカロリーは119kcalなんですね。それにプラスして麦芽やらホップやらも原料に使われていますから、カロリー計算をするにはその分も追加しないといけません。低脂質や低カロリーをうたっているものもありますが、アルコールを使っている以上、一定のカロリーはあるます。

 更に、アルコールって体が最優先で分解しようとするんですよ。だから、食事中に飲酒すると、食べたものの分解よりもアルコールの分解が先に行われるわけです。体って結構いい加減ですから、「アルコール分解が終わるまで食事の受け入れは先にしょう。その間、胃に留めておこう」なんてしてくれません。ならどうするか。食事の吸収とアルコール分解を同時に行うんです。端的に言えば、アルコールを分解しきるまで食事分は吸収し続けるんです。

 これが「酒を飲むと太る」と言われる理由ですね。肴には刺身や漬物みたいに軽いものばかりでなく、揚げ物やナッツ類がよく合わされますね。美味しいのは分かりますけど、どちらかは控えめにしないと……。

 

 まあそんなこんなでアルコールに不利な面ばかり書きましたが、実際のところ、皆さんどんなアルコールが好きですか? 私、蔵造酒がダメなので、スピリッツ、もっぱらウォッカかジン(もしくはそれベースのカクテル)ばかり飲んでいます。

 蔵造酒と蒸留酒の違いも軽く書いておきましょうか。かなりざっくり説明すると、ワインや日本酒のように原料を発酵させて作るのが蔵造酒、それを蒸留したものが蒸留酒になります。なので蒸留酒、メジャーなもので言えば、ウォッカ、ジン、テキーラ、ウィスキー、ブランデーの五大スピリッツと焼酎、泡盛でしょうか。蒸留しているので、色はついているもののクリアに透けているものばかりですよね。対する蔵造酒は発酵させたままなので、端的には日本酒のにごり酒のように、透き通ってはいませんね。蔵造酒の方が酔わない、蒸留酒の方が酔わない、みたいに体質の差があるようです。ちなみに私は日本酒がまるでダメです。。。

 

 さてさて、ようやっと本題に入っていきましょうか。今回、私の好きなお酒を簡単に紹介しようと思ったんです。専門家ではないので本当に簡単に、素人意見丸出しで紹介していきますね。今まで飲んだ中での私からのおすすめですので、賛否両論あると思いますがそこは目を瞑ってください。

 

  1. グレイグース

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 言わずとしれた私のハンドルネームでもあるグレイグースです。ボトルが可愛いですね。プレミアムウォッカに数えられて、ウォッカの中でも特に飲みやすいな、と感じています。普通、想像されるウォッカって無味無臭でアルコールの苦みだけがあるって感じですが、グレイグースはアルコール臭を抑え、ほんのりフルーツっぽい香りが鼻から抜ける感じです。度数もそれなりにあるのでぐーびぐびというわけにはいきませんが、ロックでじっくり風味を楽しみながら飲むのもおすすめです。

 ノーマルだけでなく、ポワール(洋ナシ)、シトロン(レモン)、オランジェ(オレンジ)のフレーバーを追加したフレーバーウォッカとしても人気です。

 

  1. シロック

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 私のハンドルネーム、始めた当初はシロックでした。こちらもプレミアムウォッカで、上記のグレイグースを超える飲みやすさと思っています。よくお酒を評価するときに「喉越しがいい」「なめらか」「口当たりがいい」なんて言いますけど、それまでは正直分かりませんでした。ですが、このシロックを飲んだとき初めて「なめらかってこういうことか!」と実感しました。今も節目節目に飲みたくなります。また、シロックの特徴として、原料がブドウなんですよね。普通のウォッカは大麦、ライ麦、トウモロコシ、要は穀物なんですが、このシロックはブドウなんです。だから、飲むとほんのりブドウの香りが漂います。ロックでもストレートでも美味しいウォッカですよ。ボトルもカッコイイですし。

 

  1. ストリチナヤ

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 上二つに比べてしまうと見劣りするかもしれませんが、十二分に美味しいよくできたウォッカです。グレイグースとシロックが、後味甘めだったのに対して、ストリチナヤは香辛料っぽい芳香が抜けます。映画『アトミック・ブロンド』でシャーリーズ・セロンがことあるごとに飲んでいたウォッカがストリチナヤです。低価格帯ながら、嫌みやえぐみがなく、すっきりしていて特に水割りで飲みやすいと思います。最近私が飲んでいるのもこのストリチナヤです。

 

  1. サイレントプール

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 今度はジンです。ジンはウォッカと同じく穀物を原料として作られますが、特徴となるのはその香りでしょう。ウォッカでもテキーラでもないあの香りは、ジュニパーベリーって名前のスパイスで香り付けされているからなんです。更に最近、クラフトジンなるジャンルが人気でして、すっごく雑にいうと日本酒における「地酒」みたいなものでしょうか。いろんな蒸留所が各々のやり方で(もちろんジュニパーベリーは使って)ジンを作っています。

 そんなクラフトジンの中で、とりわけ美味しいと思ったのがサイレントプールです。まずボトルが綺麗ですよね。ボタニカルな柄の中に、確か女性のシルエットも紛れていたはずです。ランスロットの物語だったか、レーテーだったか、ナルキッソスだったかの話をモチーフにしているらしいですが、すみません、失念しました。

肝心の味は、とても香りの高いもので、さっぱりと飲みやすく作られています。香り付けには24種類もの花やハーブ、スパイスが使われていて、「香水を思わせる」なんて評価も受けるほどです。いつも飲んでいるジントニックビーフィーターボンベイサファイアで作られてると思いますが、たまにはサイレントプールに挑戦してみては如何でしょう。

 

  1. ヒィプノティック

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 スピリッツが続いたので今度は、パイナップルやキウイ、ベリー系のトロピカルフルーツのリキュールです。フランス語で「催眠」を意味するらしいですが、酩酊するほど強いわけでもなく、これを使ったカクテルはお酒が強い人ならジュース感覚で飲めるでしょう。味としては先述の通り、フルーツの酸味と甘みがバランスよく仕立て上げられていて、炭酸で割るだけで充分美味しく飲めます。配合の完成度が高いので、そのままロックで飲んでも嫌なアルコール感もなく、レモンやライムを絞ればよりさわやかに香ってきます。

 アルコールが弱く(私もそうですが)、でもバーに行ってみたいって人にはこれで作ったカクテルをおすすめしたいですね。雰囲気を壊しませんし、コンセプトバーでもない限り大体置いてある気がします。これからの季節にピッタリなリキュールです。

 

  1. パルフェタムール

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 最後はこれまたあまり見ない、スミレのリキュールです。場所によっては「バイオレット」とだけ呼ばれることもあります。柑橘系ベースに薔薇やバニラ、そしてその由来にもなっているニオイスミレで香りづけした一本です。ここではスミレのリキュールて意味で紹介しますね。

 色は濃い紫で、見るからに艶やかですよね。上に挙げた五本と比べても、一番強い香りがあります。飲む瞬間には香るくらいですが、飲み込んで喉を通ってから爆発するように一気に鼻に抜けていくんです。カクテルベースとして使われることがほとんどかなと思いますが、間違っても今いい感じになりそうな相手とのデートで、このリキュールを使った「ブルームーン」なんてオーダーしないでくださいね。カクテル言葉が「叶わぬ恋/できないお願い」ですから。逆にスマートに断りたいときにはいいかもしれませんね。

 特に「バイオレットフィズ」なんてかなり飲みやすい部類なんですが、香りも相まってアルコール感を感じにくく、気付かないうちに酩酊一歩手前なんてこともありますから注意です。ブルームーンと反対にバイオレットフィズのカクテル言葉は「私を覚えていて」なんですよ。同じ色のワスレナグサを連想させますよね。

 私は飲んだことないんですが、香りづけ、ブレンド、着色一切なしの「マリエンホーフ ヴィオラ」っていうのもあります。まじりっけなし、正真正銘スミレのみのリキュールなんです、一度は飲んでみたいですねえ。

 

 

 さて、かなり長くなりましたので、今日はこのあたりで。

 医学界権威のLancet誌で「適正飲酒量など存在しない。健康を害さない飲酒量はゼロが望ましい」と発表されてしまいましたし、皆さんも程々にして、間違っても私の後輩みたいにふらふらになるまでは飲まないでくださいね。

 

 それでは良い晩酌を。

 

 ゲヘナより愛を込めて。