虚勢の銀貨

東村の日々の記録

思想ノート

泥より出でて泥に染まらず

皆さん、ご無沙汰しております。 長らく更新できておらず、すみません。最後の更新から9か月あまり経っていますね……。昨年10月に最後の更新をしてからは、原稿のほうにかかりきりで、ほとんど他のことをする余裕がなかったです。その原稿については、2022年3…

冷たい水の中を震えながらのぼっていくような

「言葉狩り」なんて、よもや生きているうちにここまで派手に行われるとは思わなかったですよね。 少し前、COVID-19の騒ぎが一時鎮静化したかなってあたりで、アメリカの黒人男性が殺された件でBlack Lives Matterがヒートしました。私は黒人へ対して何も思っ…

ホール・イン・ワンダーランド

ご無沙汰しています。 長らく更新できませんでした。 コロナが騒がれる昨今、どうお過ごしでしょうか。外出自粛が叫ばれて、満足に外で遊べないのが続いていますね。作家志望の方々はこの隙にガンガンインプットしてガンガン書いているんでしょうか。私も最…

出場通知を抱きしめて、あいつは海になりました

今日知りましたけど、日本人が夢を諦める平均年齢って24歳なんですってね。 24歳、確かに転換点の歳だと思います。大学をストレートに卒業して就職していれば二年目、大学院なら修士課程でしょうか。高卒で働いていると大体五年目ですね。それくらいの時期に…

メメントモリ

死ぬって、そんなに悪いことでしょうか。私もこの年まで生きてきて、色んな人と話してきましたし、色んな作品にも触れました。様々な主義主張を見てきましたし、数多くの意見も耳にします。その中で、大多数を占める意見として「死ぬ=悪いこと」って前提が…

大人になっても人生はつらい?

社会人になって得たものってなんですかね。 多分、このブログを読まれてる皆さんは社会人がほとんどでしょう。学生の方はもういないんじゃないかな。少なくとも、私のツイッターからリンクを飛んでくる人はみんな社会人、というよりは学生ではないですよね。…

規定された自由

私ねえ、表現の自由をはき違えた馬鹿は嫌いなんですよ。 表現の自由って、文字通り一応のところ、自由ではあるんです。ただ、憲法でも言われているじゃないですか。「公共の福祉を害さない限り」って。私は法曹系の専門家ではないですから厳密なことは分から…

お盆前の楽しみ

ご無沙汰です。 私事ではありますが、実家で暮らしていた頃皆勤賞だった哲学カフェの来月分の案内が出ました。この記事の末尾にリンクを貼りますので、気になった方は参加してみてください。面白いですよ。 私が行っていた哲学カフェ、何度かTwitterで書いた…

令和って物騒ですね

最近物騒ですよね。四月末から連日連夜、人が亡くなったニュースばかり目にしている気がします。半分くらいが通り魔みたいな殺人、もう半分が交通事故。 私は別に博愛主義者でも生存至上主義者でもないので自ら命を絶つ決断をされた方には「そうなの、お疲れ…

聖地に馳せて

「聖地感覚」ってご存知ですか? 霊感とか邪気とかと並んで眉唾ものなんですが、「神性に縁のある土地に行くと何かを感じる」って感覚です。眉唾ものではありますが、私はなんとなく信じています。現に、私霊感はないんですが、神社とか土着信仰の聖地とか行…

かりそめの秩序の城

森羅万象、何がしかが起こるためには熱が必要です。水を沸かすのに火が要るだとか、車を動かすにはガソリンを燃やす必要があるだとか、そういった直接的なことではありません。 エントロピーという言葉を聞いたことがある人は多いと思います。熱力学第二法則…

ダウナートリップ

神戸は雨が降っていました。雨の日は好きです。人の顔を見る必要がないし、日光は降り注いでこないし。何よりも街全体が静かになるのが大事ですね。雨の日に騒音は似合いません。足音とも水音ともつかない音が耳の中に静かに反響するのがいいんです。 さてさ…

煙草の煙に紛れ誤魔化す溜息

「緩慢な自死」という言葉がありますね。食事を摂らなかったり、身体に悪いと知りながらそれをすることで健康状態を害したり。積極的に自死を選ぶのではなく、どちらかと言えば「生きることを手放す」に近いのかなって感じています。 この言葉、さらっと調べ…

虚無とランデヴー

明けましておめでとうございます。 とうとう2019年になってしまいましたね。『AKIRA』や『ブレードランナー』の設定年で、『ハーモニー』では「大災渦」が起きた年です。残念ながら、1月7日現時点でそんなスペクタクルが起きる様子も、アンドロイドが電気羊…

パンドラの匣には希望が残りました、とさ

中国で世界初のゲノム編集ベビーの誕生しましたね。ただ当人は倫理委員会や民意を味方につけていたわけではなく、独断で人の遺伝子を改竄した悪の権化のように扱われています。今日は遺伝子編集について書いていきましょうか。 まず、ゲノム、遺伝子、DNA、…

真綿で首を絞められるような

最近、露骨に感情のふり幅が薄くなってきたと感じます。私は元来、そこまで表に感情を出すタイプではなく、というよりプラスの感情の表現方法をあまり知らないタチでした。何か嬉しいことがあっても、それを手放しで喜ぶのはなんとなしに恰好悪い、と思って…

仮装するなら愚者より賢者がいい

集団心理で暴走した馬鹿共が渋谷で暴動を起こして、ここ数日騒ぎになっているのを目にします。どうも日本の知能が低い連中は、「ハロウィーン=コスプレをすれば何をしても免罪符になる日」と勘違いしているようです。 よもや私のブログを読んでくれている方…

目指すのは随一ではなく唯一

表現の自由。この言葉は今までどれだけの人に曲解され、捻じ曲げられてきたでしょうか。 そもそも日本人は「自由」という言葉に弱いと思います。日本の歴史上、自由を求めて散っていった先人は多くいますが、国家レベルで自由に向かって走ったことはほとんど…

短く、激しく

「将来的に」という言葉が嫌いです。 将来的に役に立つ。将来的に価値が上がる。だからなんなんですか? 「将来的に」が枕詞として使われることを理由に何かをするなんて、そのものに理由を見つけられなくてこじつけているだけじゃないんでしょうか。 日本生…

頭の中はワインセラー

言葉、というものはある意味生薬です。どんな言葉を一つとっても、適切なタイミングに適切な量を摂取できなければ、意味がないどころか毒にもなってしまいます。これは何も愛を囁く特別な言葉に限らず、私達が日々話している、一見取り留めもないようなもの…

暇をつぶさない暇つぶし

技術の発展は、確かに人の生活を豊かにしたかもしれません。半世紀前には、地球の裏側の住人とほんの数秒のラグだけで瞬時に連絡を取れるなんて、誰ができたでしょう。まして衛星電話や軍の通信を除いた一般市民が、です。 さて、本日は技術の進歩に焦点を当…

健全とは、勝者のいない蠱毒

さて、予告通り今回は「表現者たるものかくあるべきでは」という私の独断と偏見に満ちたことを書いていきます。 前回の記事はこちらから。 gleich-sterbe.hatenablog.com まず、皆さんは「表現」というもの、ことについてどのように考えているでしょうか。表…

「気に入らないもの=悪」は通用しないでしょ

表紙がアダルティなライトノベルについて、最近ツイッター界隈が荒れていましたね。 それについて、私としても思うところがありますので、今日はそれについて。 ことの発端は以下に引用しているツイートでした。 『きょう書店で娘が心底嫌そうな顔で「お父さ…

中身がない人は嫌いです。

皆さんこんにちは。 散々この場を「政治主張の場にしない」と言っていましたが、今回は少し書かせてください。 というのも、今朝Facebookで安倍首相批判をしている母校の講師の記事が上がっており、私としても思うところがありましたので。 その人曰く、「安…

もの書く人々

文章を書く、というのはどういったことでしょう。 昔は紙と筆を手に取って、墨で何かを象る行為。更に遡れば、紙ではなく石や骨や葉が下地となっていました。でも、人間が文明と呼ばれるものを手に入れて、いや日本が文明を手に入れて約2000年。その中で主流…

流れに杭を打つような

「コストパフォーマンス」という言葉が嫌いです。 再三、現代の経済至上主義が嫌いなことは書いてきましたが、この言葉は経済至上主義を標榜してあまりあるものだと思っています。私はBtoBのIT企業のインフラ営業ですから、顧客がこの言葉を使うのはまだ分か…

暇がないならケーキを食べればいいじゃない

「貧乏暇なし」なんて言葉があります。 故事成語なので解釈が分かれますが、ここではそのまま「金がないと、それを稼ぐために奔走して、暇がなくなってしまう」という意味としましょう。 私はね、この言葉が現代の日本人のほとんどに当てはまるんじゃないか…

悩むな、考えよ

哲学、なんて言葉が市民権を持ち始めたのはいつからでしょうか。 古代のPhilosophiaについて私見をいうのではなく、私達一般市民が当たり前のように使い始めたのはいつからだろう、ということです。 でもまず、そもそも哲学とはなんでしょうか。字面を見ると…

便利≠善

今現在、私達は大量生産大量消費の世界に住んでいます。 一人一人の意識がそうでなくても、日々廃棄になる食材や、在庫落ち、アウトレットとなって売られるものは数多く、その実態を全て把握することは難しいです。 地産地消やLOHAS、自家菜園が軽いブームに…

ヒンノムの丘より

動作記憶。 この単語に見覚え聞き覚えがある人は少ないかもしれない。私と同種の人間か、その類を相手する学問、職業でなければ恐らく日常的に見受けること自体ないものだからだ。動作記憶、ワーキングメモリ――呼び方はなんでもいい――は、端的に言ってしまえ…