虚勢の銀貨

東村の日々の記録

幸せはコンビニの棚には置いていない

 夏の一時金が入りました。ええ、ボーナスです。

 惨めったらしく未だに社会人やってますから、夏と冬にはボーナスが貰えるんです。

 

 私の会社、IT企業なのは以前に書いたと思います。今現在の市場において、IT企業ってのは軒並み好調に推移しています。Twitterでネタにされるような零細企業はともかく、中堅以上は少なくとも今後五年くらいは盤石なんじゃないでしょうか。

 そんな業界ですから、多分給料も悪くはありません。いやね、うちの基本給は低いですが、それを補って余りあるくらいボーナスが爆発します。だから総体として年収は同規模の企業に比べて高いと思いますよ。

 そんな会社ですから、二年目の夏冬のボーナスを合わせると額面100万を超えました。二年目ですよ。大した成果も上げてませんし、新規の大きな顧客を引っ掻けたわけでもありません。正直おかしいと思います。この時期、大学や高校の同期と話すときの自慢にはできますが、心中としては「こんな極端じゃなくて、一年通してもう少しバランスが取れないのか」と思います。

 

 さてさて、今日三年目夏のボーナスが振り込まれました。ただ今回は一昨年未払いだった残業代の分も含まれていて、今月分の給与と併せるとそれだけで100万でした。6月に口座に振り込まれる金額が、です。散在癖がある私ですから、貯金なんてあってなきが如しです。自分の口座に100万単位のお金が入るなんて見たこともありません。

 だからね、先月今月と、かなり贅沢をしたんです。今までAmazonの欲しいものリストに入れっぱなしになっているものを買ったり、無意味に外食したり、服なんて普段買わないのにアウターやボトムスを買ったり、などなどなどなど。日用品を除いても、ここ二ヶ月で20個近くものを買ったんじゃないでしょうか。

 ただね、一向に達成感も充足感もないんです。家に帰って「ものが増えたなあ」くらいにしか感じません。最近買ったものも、別段利用するわけじゃないです。まだ昔は「新しい靴を買ったから外に行きたい」「新しい服を買ったから遠出したい」「新しい本を買ったから早く家に帰りたい」となっていました。でもそれもないんです。

 ちょっと前から薄々感じてはいました。多分買い物依存症なんでしょう。不必要なものを買って、手に入れて、周りに置いて、「自分は満ち足りている」というのをオルタナに置き換えておかないと安心、というか立っていられないんだと思います。お金を使って、経済活動をしていないと何のためにわざわざ働いているのか分からなくなっていくんです。何か欲しくて、その対価を稼ぐために日々出勤してやりたくもない仕事をして悪くもないのに頭を下げて、そうして生きているって言い訳が欲しいんですよね。

 ただ、ここ二ヶ月いろんなものを買いました。どうでもいいもの、余分なもの、普段は買わないもの。私の周りにはものが増えていきました。その分、次に買いたいものは減っていきました。さっきAmazonを見てびっくりしましたよ。だって買いたいと思うものが一つもなかったんですから。

 エスプレッソマシンでも買いますか。ヨナナスでも買いますか。室内物干竿でも買いますか。空気清浄器でも買いますか。きっと一回二回使えばもういらなくなるんでしょう。だって欲しくて買うわけじゃなくて、買うという行動をしたいがために買うんですから。

 月並みで手垢が付いて使い古された表現をするなら、ものが増えた分だけ空虚感が増した、ってところでしょうか。

 

 なんというか、多分これが「もう生きている意味がないから」の一端なんでしょう。こうして徐々に擦り減っていって、気付いたときには再起ができないくらいぺらっぺらの見るに堪えない醜態を晒すんでしょう。

 それもまた一興ですね。

 

ゲヘナより愛を込めて。